長崎家庭裁判所 昭和57年(家)84号 審判 1982年1月25日
後見人 山脇一臣
被後見人 宮下貞治 外一名
主文
一 本案審判確定に至るまで、被後見人宮下貞治、同宮下美代子の後見人山脇一臣の職務の執行を停止する。
二 右期間中、後見人の職務を行わせるために
本籍 長崎県北高来郡○○町大字○○○○○×××番地筆頭者宮下晴久
住所 右同
宮下晴久
を職務の代行者に選任する。
理由
一 被後見人の親権者父宮下貞利は昭和五二年八月一四日死亡し、親権者母宮下小夜子は昭和五五年九月一二日死亡したため後見が開始し、当裁判所は昭和五五年一一月一七日被後見人両名のための後見人に山脇一臣を選任した。
二 当裁判所の昭和五六年(家)第五四三号、同第五四四号後見監督処分事件の記録及び調査官の調査報告書によると、被後見人両名の資産としては銀行預金合計三、三六六万七、一四九円及び被後見人らの母名義の宅地一三五・五四平方メートル、同軽量鉄骨造亜鉛メツキ鋼板葺二階建居宅一棟があつたところ、後見人は被後見人名義の定期預金を数回にわたり合計約一、〇〇〇万円引出していることが認められこのまま放置していては被後見人の資産を費消してしまうおそれが充分窺えるうえに、更に最近に至り九〇万円程を銀行より引出していることが判明したので、当裁判所は職権により後見人解任事件として立件をなしたが、被後見人は現在も後見人の許で養育を受けており、本案審判にはなお日時を要するので、被後見人らの利益のためには、本案審判の確定に至るまで後見人の職務執行を停止し、その職務代行者として被後見人の伯父に当たる宮下晴久を選任するのを相当と認め、家事審判規則第七四条一項、八六条により主文のとおり審判する。
(家事審判官 米田絹代)